建築家の責任。通し柱編
お世話になります。
近江八幡で注文住宅なら住宅工房ライブスの平井です。
気持ちの良い季節になり遊びに仕事にめいっぱい楽しむぞ~と気合入りまくりの僕です。さて今回は、先人達の技と知識の伝承と現代建築との関係をお話したいと思います。
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日本の職人事情
私達職人の業界は、親方のところに見習いに行き、その名の通り親方の仕事を見て習い、自分のものにしてから、受け継いだその技を後世に伝承していきます。しかしその技の中には、昔と今の考え方や生活スタイル、そして仕事の内容までもがガラッと変わってきたことで、そのまま伝えてはいけないこともあります。
強い家=通し柱?
今なお、全国で普通に伝承されている技術の中に、『通し柱』がありますが、今回は、その通し柱に物申す!
昔、通し柱とは、家の中心で全体の荷重を支える大黒柱のことでした。この大黒柱は1階から2階まで貫く太い柱で、構造上もっとも重要な柱です。またその大黒柱には四方から梁がささってくる為、1辺の長さが1尺(30cm)ぐらいのものを使っていました。多少の地震にも耐えられるようにと、それぐらいの太さが必要だったわけです。
しかし時代の流れと共に、その大黒柱はその言葉自体を聞かなくなり、代わりに通し柱だけが残りました。
しかし、その残った通し柱も、また時代と共にだんだんと細くなってきて、
現在では、他の柱と同じ普通の太さになってしまったのです。
本来、家全体の荷重を支える通し柱がこれだけ細くなってしまっては、本来の役割を果たせるわけがありませんが、何故か、今なお、その間違った伝承は全国で続いているのです。
通し柱は危険!
震災で通し柱が折れて1階がぺしゃんこになっているのを見ているのにもかかわらず、未だに続いています。震災の悲惨な光景を絶対繰り返してはいけないのです。
我々大工がそこに住む家族の命を守ることができるかできないか、それほど大切な選択なのです。
これほど弱くなってしまった通し柱に強度を求めるのは間違いです。
その他で補強し、弱くなってしまった通し柱自体を無くしてしまったほうがいいのです。
実は私の自宅ではその弱くなった通し柱は一切使っておりません。この事を私は後世に伝承していこうと思っています。このように結果的に間違った伝承と間違った思い込みが他にもまだまだあります。
これからも、一生涯勉強して正しい事を伝承していきます。
一人では限界がありますが、、同じ志を持った仲間がいることでその力は何百倍にもなります。
全国の百年の家projectの仲間に出会えたことに心から感謝しています。